今宵、月を探して

なんとなく

なんとくだけど

月の写真を撮りたくなった。

八島さんの影響かもしれない。

 

月の写真は満月の時にしか撮ったことがなかった。

今宵は三日月らしい。

たまには三日月もオツなもんだろう。

ベランダに出て夜空を見上げた。

しかし、月は見えなかった。

方角が違うのかな?

いつもふとベランダに目をやると月が見えていたのに。

 

しかたなく、僕は外に出てみた。

道路から見ても月はそこには無かった。

都会のマンションの陰に隠れているのか?

開けた公園に行ってみたがそれでも月は見えなかった。

僕は落胆して家路についたのだった。

 

今宵、みんなの家からは月が見えますか?

 

 

 

大都会の真ん中で詩集を売る人

あれは今から20年以上前のことだろうか。

職場が新宿だった頃、西口に立っている女性を見かけた。

年齢はいくつくらいだろうか?

わからない。

 

最初は気にも留めなかったが、真夏も真冬もいつも同じ場所に立っているのである。

記憶に残っている理由はそれだけではなかった。

その女性が何年も(少なくとも3〜4年)立っていたからだ。

 

「私の志集300円」と首からぶらさげていたボードに書かれていた。

 

企画という職業柄ネタになると思ったからか、

持ち前の好奇心の強さに勝てなかったからなのか、

俺は女性に声をかけた。

 

たわいのない話をしたのを覚えている。

ご病気の旦那様との合作の詩集を売っているとのことだった。

 

この大都会の真ん中で何年、いや何十年も詩集を手売りしていることに驚いた。

 

そして詩集を買ってみたことをしろん(id:sironeko)さんの詩を読んでいて

フッと思い出した。

気になって調べてみたら、新宿の都市伝説になっているほど有名な女性だった。

あの人はSNS全盛の今でも詩集を手売りしていた。

 

今度お見かけしたらまた詩集を買ってみようと思った。